きみに守られて
しばらく沈黙のまま二人は
まるで行進のように歩いていた。

「犬が沢山いるね、猫もいるんだ」
いつしかぞろぞろと集まりだしていた
猫と、犬の集団。

「みんな友達よ、
面倒だから名前なんて
つけていなかったりして」

「うわ!可愛そうに。みんな名無しかよ」

「冗談ですぅ。名前ありますぅ。
でも・・
あんまり偉そうに言えないのよね。
だって一号二号って名前だから。
最後は三十一号でね、あとは日によって
増えたり減ったりするかね、
お客さん犬とお客さん猫は
”百ちゃん”とか
”千君”とかぁ
”億君”とかぁって、呼んでるわよ」

「なんだ、なんだ?じゃぁ~あの子は?」

「二十三号ッ君!」

「あの猫は?」

「五号ちゃん!」

「ある意味君って凄いよ」

「イエィー!」と
親指を立て腕を突き出し威張出す優里。

「遊んでくる!
昔からの夢なんだ!
沢山の犬や猫に
揉みくちゃにされながら
地面を転げまわって遊ぶの!」

長い眠りから醒めたユリツキは
雑草の上をまるで
芝生にいるように転がり
無邪気に遊んでいる。

何年ぶりか何十年ぶりかで、
全速力で走った。
清清しい息苦しさを満喫する。

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