きみに守られて
遊び疲れ座り込んだユリツキは
ふと、ある犬のしっぽが無いことに
気付いた。

「チロ・・か・・?」

遠い昔に死んだはずの飼い犬。
理解できないまま辺りを見渡す。
そんなユリツキに気づいた
猫や犬たちが集まってきて、
彼を囲むように全員が座り並んだ。

犬猫たちの顔は
”古い話”の記憶は瞬時に蘇えらせていた。


ユリツキは体全体が硬直して
涙腺でも切れたかのように、
止めど無い涙が零れていく。

「あぁチロ・・・。みー・・。
タロウ・・。
ミケ・・。シロ・・。
ゴンもいる・・・」
顔を地面にこすり付けながら
泣きじゃくる。

「ごめん・・ごめん・・
ごめん・・ごめん・・ごめん・・」
一心不乱に泣きすがり犬や猫に謝る。

鼻水を垂れ流し、涙もふかず、
ユリツキは一匹一匹を
抱きしめていく。
償えない罪をかみ締めながら。


「ぼくはとうさんが怖かった。
止められなかった。
何も出来なかった・・ごめんよ」

ユリツキのそばに座り込む優里。


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