きみに守られて
『その場所へ』
(逆境にぼくは強い、
極貧の中を耐え生きてきた。
冷えた眼差しも、
理不尽な暴力も
乗り越えて来た。
ぼくは強い。
ぼくなら大丈夫)
現実世界の膿捨て場と
云われる裏の世界、
自分に意味があるのか、
ないのか、
強制的な二人の出会いに
”運命”に、幸福を感じる。
ユリツキは何の変化もなく、
ごく普通に両手を振り走っていた。
どこから変わったのか、
何が違うのか、
まったく解らないまま走っていた。
自然に時間は動き、
人も車も雑音もあいかわらずだった。
「なんだか、別に何も変わってないぞ?」
(とにかく何年かしらべよう)
すれ違う人には聞けなかった。
建物を覗くが確認出来ず、
探しまわる。
らちがあかない。
家猫が迷子になり、
徐々に我家から遠ざかるように
ユリツキは曲がり角から離れていった。
駅が視界に入る。
見なれた歩道橋と背後に緑色を構えた
原宿の駅だ。
駅へと疾走する。
本来の使命は忘れた訳ではないが、
確認と確信のために夢中で走った。
”平成十八年三月三十一日(火)”
駅の掲示板にはっきりと書いてある
(やっぱり、そうなのか)
一応の納得。
極貧の中を耐え生きてきた。
冷えた眼差しも、
理不尽な暴力も
乗り越えて来た。
ぼくは強い。
ぼくなら大丈夫)
現実世界の膿捨て場と
云われる裏の世界、
自分に意味があるのか、
ないのか、
強制的な二人の出会いに
”運命”に、幸福を感じる。
ユリツキは何の変化もなく、
ごく普通に両手を振り走っていた。
どこから変わったのか、
何が違うのか、
まったく解らないまま走っていた。
自然に時間は動き、
人も車も雑音もあいかわらずだった。
「なんだか、別に何も変わってないぞ?」
(とにかく何年かしらべよう)
すれ違う人には聞けなかった。
建物を覗くが確認出来ず、
探しまわる。
らちがあかない。
家猫が迷子になり、
徐々に我家から遠ざかるように
ユリツキは曲がり角から離れていった。
駅が視界に入る。
見なれた歩道橋と背後に緑色を構えた
原宿の駅だ。
駅へと疾走する。
本来の使命は忘れた訳ではないが、
確認と確信のために夢中で走った。
”平成十八年三月三十一日(火)”
駅の掲示板にはっきりと書いてある
(やっぱり、そうなのか)
一応の納得。