きみに守られて
『夢』
”ぼく、どうしたらいい?

生きていていいの?

産まれただけで差別されるの?

母さんはなぜぼくを産んだの?

みんながね、ぼくに近寄らない。

汚くないのに。

なんでぼくの家はボロいの?

なんでトタンでできてるの?

母さん、明日ね遠足なんだ。

参加費がいるんだ。

家にお金全然ないよね?

大丈夫、僕がなんとかする。

だからね、今夜家に帰るの遅くなる。


賽銭箱探してまわるから遅くなる。

お金がすぐ貯まったらすぐ家に帰るけど

でも、集まらないと帰るの遅くなる。

だっていっぱい探しまわるから

だって遠いから、神社が。

だって・・遠足行きたいから”

河元ユリツキ(百合月)は
ここで一度目覚める。
いつものように枕は涙で濡れている。
今年で十九歳になるユリツキは
いまだに小学生のころの現実を
夢にみる。

真夜中の暗闇で思う。

ぼくはまるで
屋根裏にたまった何かのカスだ。
クズだ。
汚れだ。
なんの役にもたたない。
守るものもない。

そして再び眠りにつく。
再びそれが襲ってくる。

”母さん母さん、

女の子がぼくをイジメル。

母さん女の子みんなが怖い。

一番イジメル女の子、

初めて好きになった女の子だからね、

だから悲しいよ。

学校でイジメられてね、

家で父さんにイジメられる、

近所の人も優しくない。

しょうがないね、

父さん近所で嫌われてるしね。

母さん?

僕は悲しい、

だって母さんも優しくない。

僕は毎晩泣いてるよ、

布団の中でいっぱいいっぱい・・

泣いてるよ、

ヨダレも鼻水もいっぱい流してるよ。

いつまで流したら幸福になれる?

僕はどうしたらいい?

生きていていいの?

生まれただけで差別されるの?

母さんなぜぼくを生んだの?

僕どうしたらいいの?”


本当の悪夢とはこうゆうものなのだ


現実をいきるとは


こうゆうことなのだ。









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