きみに守られて
太陽はまた沈み、
日が暮れていく。
台地から山里へ射し込む
黄赤と橙の残照の刻は、
裏の古墳のような小高い丘と
周りに連なる雑木林を
紫がかった黒い切り絵に見せた。


ユリツキは、
閉ざした意志の奥深くで
夢を見続けていた。

”夢”と云うべきなのか彼は
少年になり、
彼自身の過去をさ迷っていた。

悪夢の中でユリツキ少年は
無理やり忌まわしい過去を
巨大スクリーンの前に
正座させられ、
強制的に見せ付けられる。

これは夢だと思う。
しかし思えば思うほど
映像は色鮮やかに
鮮明に映し出される。

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