白い蝶々

入退院

父は退院してから何度も救急車呼んでは入退院を繰り返していました。
消防署の許可をとり自宅に大きな酸素を置きはじめ、父は酸素がないと呼吸ができないほど悪化しました。
一人でお風呂に入れなくお湯の蒸気で息ができなくて『助けてくれ』
と叫んでいました。
母がヘルパーの資格があるので一緒によく入っていました。
そんな両親を見て母だけが元気ならまだいいと無理矢理納得させていました。
そしてとうとう入退院を繰り返した最後の救急車で父は母に言ったらしいです。
『お母さん』
『死ぬのが恐い』
そのまま父は自宅に帰ることはありませんでした。
< 11 / 16 >

この作品をシェア

pagetop