白い蝶々

病院生活

大部屋にいた父は一人で戦いました。
岐阜を離れ知らない病院で目に見えない癌と睨めっこをしているかのようにもがいていたんです。

会えるわけないとわかっていても近くに居たいと思い夜中に親友と高速に乗りました。
声にして叫んだこともありました。
『おとん!頑張れ!』
近所迷惑も考えずに馬鹿でした。
どうしよもないことに必死でした。
この病院は期待ハズレでした。
手術すらできなくて、しもに管を入れる時にやり方が悪く痛い思いをしたと母から聞きました。
私は思いました。

なんでこの病院にきたんだろう。
父がどんどん小さくなっていきました。
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