黒王子と銀の姫
「何をする!?」

「熱を計ろうかと……」

「なぜ、そんなことを?」

「具合が悪そうなので」

イリアは、再び伸びてきた手を、はらいのけようとして、ふらついた。

心配そうに、ユーリが顔を覗き込んでくる。

ダークアメシストの瞳から目を逸らし、痛む頭を無意識に押さえた。 

どこでどう間違えてしまったのだろう?

瞳に宿っていた憎しみが、少しずつ別の感情にすり変わっていることに、ユーリ自身は気づいているのだろうか。

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