黒王子と銀の姫
「寝所をともにする気はありません」
そう告げた途端、劇的なほどに相手の顔色が変わるのを、イリアは冷ややかに見下ろした。
「そ、それは、どういう意味ですの?」
困惑顔で訊ねられ、わざと意味深に微笑んだ。
「申し上げた通りです。第四王子は男色家だという噂を、耳にしたことぐらいはおありでしょう?」
「でも、でも……」
「私もあなたのお噂は色いろと聞いていますよ、色いろとね」
こんなことを口にするつもりはなかったが、まとわりつかれても面倒だ。
逃げるように部屋を出て行く足音を聞きながら、イリアは重いため息をつき、手付かずのまま、部屋に残されたスープを一瞥した。
そう告げた途端、劇的なほどに相手の顔色が変わるのを、イリアは冷ややかに見下ろした。
「そ、それは、どういう意味ですの?」
困惑顔で訊ねられ、わざと意味深に微笑んだ。
「申し上げた通りです。第四王子は男色家だという噂を、耳にしたことぐらいはおありでしょう?」
「でも、でも……」
「私もあなたのお噂は色いろと聞いていますよ、色いろとね」
こんなことを口にするつもりはなかったが、まとわりつかれても面倒だ。
逃げるように部屋を出て行く足音を聞きながら、イリアは重いため息をつき、手付かずのまま、部屋に残されたスープを一瞥した。