黒王子と銀の姫
あの事件以来、クリムゾンが変だ。

もっとも、おかしくなったのは、クリムゾンだけではなかったが。

「今回のことで確実に俺の寿命は縮まった」

責任を取れと詰め寄られ、ユーリは視線を泳がせた。

「そんなこと言われても……」

背後の壁に両手をつかれて身動きできぬまま、相手の顔を仰ぎ見る。

しばらく無言で見詰め合った後、クリムは真顔でささやいた。

「俺と一緒にここから出るっていうのは?」

「あなたはイリアの従者でしょ?」

「従者じゃなかったら?」

夏の海のような瞳にじっと見つめられて、ユーリは言葉に窮してしまった。







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