黒王子と銀の姫
漆黒の瞳が一瞬だけこちらを見て逸らされた。
第三離宮での事件以来、ずっとこの調子だ。
そのまま歩き去ってしまう気配を察し、ユーリは咄嗟に手を伸ばした。

つかまれた腕を振りほどくことはなかったが、迷惑そうな瞳を向けられた。
はっとして手を離した途端、グノーが持っていた書類を押し付けてきたので、あわてて両腕に抱え込んだ。



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