黒王子と銀の姫
「私はあなたを、ずっと憎んでいなくては、ならないのですか?」

イリアは黙り込んだままだった。
ひるみそうになる自分を叱咤して、ユーリは前に進み出た。

「私には、あなたが何を考えているのか、わからない。教えてください! この離宮に連れてこられた時、あなたは、あなたが与えた役を、私がちゃんと演じきることができたなら、おもしろい復讐劇を見せてやるとおっしゃいましたけど、あれはどういう意味なのですか?」

ようやくこちらに向けられた瞳から、感情を読み取ることは難しい。

イリアは椅子から立ち上がり、どこか皮肉に微笑んだ。


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