黒王子と銀の姫
リタニアの王城がわずか半日で落ちたのはイリアのせいだ。

イリアは、大陸の覇者として君臨するアルミラの第四王子で、黒い瞳と黒い髪を持ち、黒い色をいつも身に着けていて、つまり、何もかも真っ黒な、黒王子だ。

態度は尊大で、仏頂面で、ユーリに向けるまなざしは、虫けらでも見るように冷めている。

(敵国の王女を利用して、さらなる謀略を重ねるつもりなんだ)

それが何かは、さっぱりわからなかったけど、最初の頃ははそんな風に自分を納得させていたから、思う存分、憎むことができた。

おとなしく言いなりになってるふりをして、寝首をかいてやるつもりだったのだ。

刺し違えてもかまわなかった。

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