黒王子と銀の姫
けれども、時間が経つにつれ、少しずつ、ほんの少しずつ、わかってきた。

イリアは感情を見せようとしない。

でも、感情がないわけじゃない。

喜怒哀楽を抑え込み、それでも抑えきれない感情が、ごくたまにあふれ出すことがある。

目を凝らして見なければ、気づくことができない。

闇夜に浮かぶ小さな星々を数え上げるように、イリアの優しさを、強さを、苦悩を、誠実を、正義を、揺るぎのない信念を、ユーリは一つひとつ見つけていった。

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