黒王子と銀の姫
イリアに剣を向ける気にはなれないが、アルミラを憎む気持ちが、消えたわけではない。

アルミラの国王が危篤だと、城の者たちが噂している。

王の寝所にしのびこみ、この剣を突き立て息の根を止めることができたなら、死んでいった者たちも、少しは浮かばれるだろうか。

(できない。やっぱり無理)

死にかけの人に、剣を突き立てるなんて最悪だ。

浮かんだ思いを振り払い、ユーリはベッドで膝をかかえた。





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