黒王子と銀の姫
(剣が使えるようになったところで、お前には無理だ)

イリアは何もかもお見通しだ。

憎しみの感情を維持し続けることは難しい。

この五年間、イリアは何を考えていたのだろう?

ユーリに剣を与え、剣術を学ばせた真意は?

忙しい時間を割いて、様々な知識を与えた真意は?

「わからない」

思考がループを描いて元に戻ってしまった。

がくりとうな垂れた時、開け放った窓の向こうで、ユーリの名を呼ぶ声がした。


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