黒王子と銀の姫
「何を見ている?」

唐突に声をかけられて、考えていたことが、思わず口をついて出た。

「イリア様と同い年の妹がいるのです。一人で放っているもので、その……心配で……」

「心配ならつれてくればいい。部屋はいくらでも空いている」

平然と言われて驚いた。

父親が刑死して以降、人は急速に離れていった。

路頭に迷って親戚に頼ろうとした時も、そんな風に言ってくれた人は一人もいなかった。

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