黒王子と銀の姫
「アルミラ王家を滅ぼすことは可能です。調べていてわかったのですが、巨大な軍事国家と言っても、その実、内部は腐っている」

アランは、城の中で暮らしていたユーリよりもはるかにアルミラの内情に通じていた。

アルミラ人の多くは、あらゆる労働を奴隷に押し付けて、享楽的な日々を送っているという。

「奴隷と言っても、侵略した国から無理やり連れて来られた優秀な者たちですから、この国が少しでも揺らげば、一気に蜂起するでしょう」

予想というより、確信めいた言葉だった。
富と力は人を堕落させる。
アルミラ人、とりわけ、アルミラ貴族の退廃ぶりには、すさまじいものがあるというのだが……。
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