黒王子と銀の姫
「そうだな、俺もそう思う」

低くつぶやき、王子はティーカップに手を伸ばした。

高貴な香りがふわりと立ち上り、佇立した従者の鼻をくすぐった。

短い静寂が部屋を満たす。

(何を考えていらっしゃるのだろう)

敵国の戦災孤児を小姓にするためにわざわざ城に連れ帰るなんて、おかしな話だ。

しかも、人を寄せ付けることを嫌う王子の場合は、なおさらだ。






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