黒王子と銀の姫
「し、しかし、ひとりの従者も連れずに崖に追い詰められていたのですよ! あ、あのようなみすぼらしい子供が、それほど高貴な身分とは……」

「外見に騙されるな。初めて会った時、追い詰められたあの状況下で、俺の目をまっすぐ見返してきたんだぞ。それに……」

ドンドンとけたたましく扉を叩く音が、イリアの声を掻き消した。

「クリムゾン、ノックというものは……」

同僚の言葉を無視して転がるように部屋に飛び込んできたのは、金髪碧眼の優男だ。






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