黒王子と銀の姫
(どうすればいい?)
暗い大広間。
黒っぽい石の床。
少年の髪も、身に付けた豪華な衣装も、何もかもが黒ずくめだというのに、血の気を失った頬だけが蝋のように白い。
焦燥に彩られた紫の瞳が、少年の背中に刺さったクリスタルの破片を映し出す。
思考力を失った指先が、吸い寄せられるように動いて、その硬質な表面に触れた時、闇に包まれた大広間の一角から、落ち着いた制止の声が飛んできた。
「やめなさい。それを抜いたら、たちまち失血死だ」
ユーリは、はっと顔を上げ、闇に向かって目を凝らした。
いつからそこにいたのだろう。
扉が閉じたままなのに、どうやって入ってきたのだろう。
ごくりと唾を飲み下し、足元に転がっていた剣を引き寄せた。
一歩、二歩と、硬質な足音が近づいてくる。
続く一歩を待つことなく、ユーリの手から、構えた剣が滑り落ちた。
近づいてきたシルエットは、よく知る男のものだった。
暗い大広間。
黒っぽい石の床。
少年の髪も、身に付けた豪華な衣装も、何もかもが黒ずくめだというのに、血の気を失った頬だけが蝋のように白い。
焦燥に彩られた紫の瞳が、少年の背中に刺さったクリスタルの破片を映し出す。
思考力を失った指先が、吸い寄せられるように動いて、その硬質な表面に触れた時、闇に包まれた大広間の一角から、落ち着いた制止の声が飛んできた。
「やめなさい。それを抜いたら、たちまち失血死だ」
ユーリは、はっと顔を上げ、闇に向かって目を凝らした。
いつからそこにいたのだろう。
扉が閉じたままなのに、どうやって入ってきたのだろう。
ごくりと唾を飲み下し、足元に転がっていた剣を引き寄せた。
一歩、二歩と、硬質な足音が近づいてくる。
続く一歩を待つことなく、ユーリの手から、構えた剣が滑り落ちた。
近づいてきたシルエットは、よく知る男のものだった。