黒王子と銀の姫
大騒ぎしている二人の従者に背を向けて、イリアは羊皮紙を睨んでいる。

赤で囲まれた名前の隣に、もうひとつ別の名前が記されている。

(ユーリ・スタインベルグ 十二歳)

はなから対象外にしていたリタニアの第一王女。

天使と見まごう美貌の姫君だというが。

「あの目は間違いなく俺の命を狙っていたぞ」

思わず漏れた呟きは、幸い従者たちの耳には入らなかった。

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