黒王子と銀の姫
「御機嫌よう、お会いするのは半年ぶりですわね、だんな様」

だんな様と呼びかけられ、イリアは皮肉に微笑んだ。

カリノ家の末の娘、ローズとの政略結婚は、華々しい婚儀とは裏腹に、あっという間に破綻している。

可憐な外見を裏切って、ローズはイリアとの婚姻前から何人もの男と関係を持っていた。

イリアはローズに触れなかった。

触れようとも思わなかった。

万が一にもローズが自分の子を身ごもるようなこがあってはならない。

「お気に入りの小姓が実はリタニアの王女だったなんて、私、すっかり騙されていましたわ。妻を寝所に入れずに、夜な夜な何をなさっていたのかしら?結構なご趣味ですこと」

毒を含んだ言葉とともに嫣然と微笑む美女を、ユーリは気丈に睨みつけた。








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