黒王子と銀の姫
「お前のことだ。頭に叩き込んでおけよ」

言われて紙面に顔を近づけると、新しいインクのにおいが立ちのぼった。

「これを書いたのは、あなたですか?」

「そうだ」

あっさりと肯定されて驚いた。


両親の名前と経歴、城に住み込みで働くまでの住所。

収入、生活ぶり、好きな食べ物、友人のことまで、まるで本人から聞き取ったかのように書かれている。


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