黒王子と銀の姫
「優しくしたり、つれなくしたりと、女心をつかむのが巧みでいらっしゃる」

「十三歳の子供が女と言えるものか」

「ふっ、でも、もうすぐ誕生日だそうですよ」

中庭の小さな東屋の、テラスの手すりにもたれたまま、イリアは従者を横目でにらんだ。

淡い月光の中でも、はっきりとわかる金の髪。

普段はいささか真面目さにかける、やたらときれい好きの優男。

その実は剣の達人で、イリアに襲いかかった庭師も、イリアを毒殺しようとした毒見役の小姓も、すべてこの男が始末した。

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