黒王子と銀の姫
「イリア、お前はどう思う?」
扉の位置から動こうとしない弟に、キリシュは視線を投げかけた。
「父上がご存命なうちは、波風を立てないほうが賢明かと思います」
「そうか、では、お前の意見を尊重しよう」
今年二十九歳になる美貌の青年は、流れる金の髪を優雅にひと揺らしし、弟に手を差し伸べた。
新緑を思わせる緑の瞳
その瞳に隠し切れない情欲が浮かぶ。
イリアはこみあげてくる不快さをやりすごし、冷ややかな無表情を保ったまま、ゆっくりと前に踏み出した。
扉の位置から動こうとしない弟に、キリシュは視線を投げかけた。
「父上がご存命なうちは、波風を立てないほうが賢明かと思います」
「そうか、では、お前の意見を尊重しよう」
今年二十九歳になる美貌の青年は、流れる金の髪を優雅にひと揺らしし、弟に手を差し伸べた。
新緑を思わせる緑の瞳
その瞳に隠し切れない情欲が浮かぶ。
イリアはこみあげてくる不快さをやりすごし、冷ややかな無表情を保ったまま、ゆっくりと前に踏み出した。