ハチミツ王子と俺様王子
「いやだ…」


「いい加減にしてよ!」


俺様の手を振りほどく。


「なんで…?」


「はぁ!?」


「なんで俺のこと、好きになってくんないの!?」


なってくんないのって…

あんたねぇ~


「好きじゃないからよ!」

「なんで!?」


「なんでって…」


「俺は好きだよ!!お前のこと!!」


勢いよく腕を引かれた。

私の唇に触れたあいつの唇…。


!?

キスされてる!!


苦しっ息できない!!

ドンドンとあいつを叩いた。

でも離れない…。


「…っ!!」


イヤッ…

やだっ!!





やっと離れた…。

「葵…。好き…好きだよ。」


あいつが震えた手で私を抱きしめた。


「葵…。」


なによ…泣きそうじゃない。


「泣かないでよ…。」


そっと頭をなでた。


ワックスが手についてベタベタになろうが関係なかった。




外は雨…。

階段で二人きり…。

入学してから3週間…。


分かったことは、


本当はこいつが誰よりも、

私よりも、




弱いということ…。
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