ストロ*ベリー
自分とヤツの昼飯を手に、屋上へと向かう。
「はい、どーぞ」
ヤツはコーヒーをまじまじと見つめている。
心配しなくたって、ブラックじゃないのに。
せっかく新しい友達ができたのに、細見のパシリになってからは皆離れていってしまった。
皆、私が細見の彼女になったと誤解しているのだ。
最悪だとしか言い様がない。
イチゴオレのパックにストローを刺し、口まで運ぶ。
甘い味が口に広がり、幸せな気分になる。
ふと視線を感じ、隣を見ると、ヤツは私のイチゴオレを見つめていた。
「やっぱ、そっちがいい」
そう言ってヤツは私の手からイチゴオレを引ったくり、代わりにコーヒーを差し出してきたのだ。
「……」
自己中なヤツめ。
ヤツは平然とした顔でイチゴオレを飲んでいる。
それが間接キスだって気付いてないわけ……?
ヤツのキャラメルブラウンの髪が風に揺れている。
私も平然を装い、コーヒーを口にした。
いつもより甘い味がしたのは……
気のせいってことにしておこう。
end