I♥DOLL
なんだろう、最初はイヤな奴だったけど話していくうちに嫌、ではなくなった。


相談にものってくれたしね。


あたしの中で「中田慎二」という存在が変わり始めていた。




「宮川、お金貸してくれない?」


いきなりアイツの声がして、心臓が飛び上がる。
中田があたしに手を差し出していた。


『は?』


最近、中田があたしの事を呼び捨てで呼ぶようになった。


「200円貸して」


『…』


態度おかしくないですか?


「貸して?」


今度はさっきよりもちょっと強めに言ってくる。
あたしはしかたなく、ため息をつき、自分の財布の中から200円を出して中田に渡す。


「ありがと。明日返すから」


『うん』


これで会話終了。

なんだか、ここんとこ最近中田と話さなくなって。

話したかとおもうとこんな風にどうでもいいような話ばっかり。


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