I♥DOLL
なんか、複雑なんだよね。


「いいなあ、沙織。なんかめちゃめちゃ仲良くて」


『へ?』


ミキがあたしの机に頬杖をついて「うらやましい~」とあたしを見る。


『そう?』


あたし達、仲良く見えてる?


「だってさ、中田ってあんまり女子に自分から話しかけないじゃん」


え?そうなの?
意外な話になぜか心が弾む。


「そうだよ~いいなあ、中田から話しかけてもらえるなんて」


『でもさ?…お金貸して、とかどうでもいいような話ばっかりだよ?』


「うらやましい~話の内容とか関係ない。あたしは中田に話しかけられてることがうらやましいの!なんか中田にとって沙織って“特別”みたい!!」


『そう?』といいながらも心はどんどん弾んでいく。
なんだ、あたしもしかして『うれしい』とか思ってる?


中田にとってあたしが“特別”って言われたから?


チラリ、と中田の方を見る。
中田は数人の男子達の中にいて楽しそうに話してる。

その笑顔が悔しいくらいかわいくて。


心臓がさっきよりも大きく動いてるみたい。
音が、うるさい。
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