重病患者
トイレに立った俺は、
奇跡に出くわした。
男子女子それぞれのトイレの入口が
廊下を挟むようにある。
廊下の端には、佐藤リナ。
声をかけようか。
「あの「あの!!」
声が重なって
佐藤リナは目を見開く。
上目遣いに理性が
ぶっ飛びそうになるが……そこは抑えて。
「さ、先にどうぞ!!
あああたし、そんな大事なことじゃないですから!!」
「そ。じゃあ先言うけど
お前明日集まり来んの??」
「え、ああ、明日??」
知らないのか??
明日はサークルで
夜で集まって
星やらなんやらみるらしいが。
「あ、椿木さんは
いらっしゃるんですか??」
俺の名前を知っていることに
少し嬉しくなる。
「なんで敬語なんだよ??タメだろ??」
佐藤リナは
嬉しそうな顔をして
「わかりまし……
わかった。あたしも行く!!
教えてくれてありがとう!!」
これは反則だろうが。
上目遣いは。
さっきよりバクバクする。
「ああ。」
そっけないけど
きっと俺はキモいぐらい笑顔だ。
「じゃあ、また明日。」
って、お前の用事は??
聞く前にサークルに
帰っていってしまった。