ずっと…
その子は橋の下に置いて行かれて
あたしとなっちゃんだけ
金髪と黒髪が乗った車に居た
走りつづける間にも
怒鳴られ脅され
許してくださいと頼み込んだ
味方してくれていたなっちゃんも
お前が悪いとしか言わない
あたしは二回目の電話なんて知らないのに
風俗行って金返せだの言うから
わかりました
返しますから降ろしてください
だめだ
なんて言う
「じゃあどうすればいいんですか」
「俺とヤりゃいいんだよ」
サーッと血の気が引いた
初めては好きな人と
それがあたしの願いだった
だけど
殺され兼ねないこんな時
ジタバタしてる暇はなかった
「一回だけですか」
「一回でいいよ」
気づいた時には静岡のラブホの駐車場で
あたしはもうするしかないと
車のドアを開けた
「あたしだけって約束してください、なっちゃんには手を出さないで」
「わかったよ」
自分を裏切った奴をなんで庇ったのか
あたしも馬鹿な女だ
ただ、誰か一人でも無事なら
そんな甘い女だった
ラブホに入って
好きでもない男に抱かれて
気持ち良くもなんともない行為にただ泣いた
約束は一回のはずなのに二回も
帰りは送ってもらって
すぐ警察に見つかり
調書を取られ
施設に帰れば悪の根源のその子は気持ち良さそうに寝ていて
起きて最初に言われたのが
「お前処女じゃなくなったんだ」
笑いながらそう言った
二回目の電話を切ったのもこいつだった
「お前処女じゃなくなったなら援助交際もう一回やれよ」
反抗もできないあたしは
自分を守るために
また頷いた