先生とあたしのヒミツなその後♪
「せ、黒崎先生!!」
廊下を全力疾走で突っ走ってやっと先生の背中を見付けた。
普段は生徒に廊下は走るなとか言っておきながら
・・申し訳ないわ・・
でも今は仕方ないのよ
「せ、先生、待って」
あたしの声に立ち止まる事なくどんどん先に進む先生。
これじゃあいつまで経っても誤解が解けないじゃない!
「待って下さい、先生!」
何とか追いついたと思ったら
先生が止まった先は目の前には数学準備室。
・・あたしの声にこたえてくれたわけじゃないのね・・
そう思っていたら
「きゃ!」
腕を引っ張られて無理矢理部屋の中へと入れられた。
「な、何ですか」
あたしが怒る立場じゃないかもしれないけど。
でもあまりにも突然の事で
どうしたらいいのか分からなくて
つい大声をあげてしまう。
「せん」
「キスしたのか」
あたしの声と先生の声が重なったけど
それでもはっきり聞こえてくるのは
先生があまりにもとんでもない事を聞いてきたからだ。
「どうなんだ、したのか」
したかしてないかって言ったら
「しましたけど。でもそれは」
「言い訳はいい」
冷たい声。
先生はあたしの腕を離して窓際の方へと歩いていく。
離れていく距離。
先生に掴まれていた腕にはまださっきの温もりが残っている。
「黒崎先生」
ぽつりと呟くように名前を呼んでみる。
「俺はお前が思ってるよりも大人じゃない」