【短】愛鍵。
『なんで、いんの･･･？』


あたしの問いかけにポケットから合鍵を取り出してまた笑ったナツキ。


「紗代ちゃんの事なら何でも分かるよ？」


なんで、この人の声は人を恐怖で包むのだろう。

あたしの心はドクドクと激しく音を立てていた。


「危険!」信号が頭を中を鳴り響く。
能から「逃げろ!」と命令が来るけど体は恐怖で少しも動かない。


「逃げないって事は･･･襲われたいの？」


彼の言葉にゾッと体が震えて彼があたしの肩に手を置くと「きゃっ」と小さく悲鳴を出した。


「そんな可愛い悲鳴きいちゃったら、俺ゾクゾクするわ～」


ふっと見上げた彼の瞳にはどこにも輝きがなかった。

まるで･･･テレビでよく見る犯罪者の目。


ガチャっと音がしたあと簡単に開いたまこちゃんの家のドア。


ナツキは不気味な笑顔をあたしに向けるとあたしの腕を掴み、そのまま放り投げるようにあたしを玄関の中に入れた。

ガチャンと鍵を閉める音に肩がビクッと動く。


恐怖でブルブル震える体をドンと強く玄関の床に叩きつけられ痛みが体中を回る。

『やっ、嫌ぁ･･･!』


嫌がるあたしを笑いながら見るナツキの目は少しも笑ってない。







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表紙・目次

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