【短】愛鍵。
『うん…分かった…』


あたしの声は最後には震えていた。


立ち上がって少しふらつきながらも外に出た。


ドアの閉まる音で何かが切れたように一気に涙が流れてくる。


『…っ…』


寒い中で涙を流したらまるで心まで冷たくなりそうだ。


拭っても溢れる涙。


合鍵を無くしてから嫌な事ばかり。


ぼんやりと浮かび上がるのはまこちゃんの傷ついた顔。


思い出すと心に何かが刺さったように痛む。


そっと胸に手を当てた。

でも痛みは和らがない。

寒いよ…まこちゃん。


まこちゃん、あたしを抱き締めて暖めてよ…。


なんだか何もかもが終わったようでふらつく足であたしは家路を歩いた。

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