【短】愛鍵。
そして、今日もなにげなく過ごして行く。


…つもりだった。


「誠~っ」


学校からの帰り道。
1人で歩いているとどこからか高い声。


そしてその声はあたしの愛しい人の名前を呼んでいた。


反射的にその方向に目を向けるとあたしの心はドクンと鳴った。


あたしの向ける方向にはまこちゃん…と女の人。
仲よしそうに横に並んで話してる。


あたしの頭の中は真っ白になった。


その場でこれ以上はいられなくなり、逃げるように方向を変えて歩き出す。


早く…早く。


少しでもあの場から離れたくて。


また涙が出て来た。


『まこっ…ちゃん…』


あたし、合鍵以上に大切なものをなくした。




まこちゃんからの愛。


あたしたちの関係。


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