【短】愛鍵。
「俺は、沙代に会いたかったよ?沙代は…?」


あたしだって…、


『会いたかったよ』


あたしの声は少し震えていた


『でもっ怖かったから…っ』


「怖かった?」


こくり、と頷く。


これがあたしの精一杯。

「そっか…」


あたしは今にも泣きそうなのにまこちゃんの声はどこか嬉しそう


…なんで?


少し疑問になって顔を上げると


まこちゃんが優しく微笑んでいた


「俺、不安だったから…」


『え?』


「あの男の方が好きなのかなって思ったから。」

不安だった、と頭を掻きながら言うまこちゃんが可愛くて


あたしはまた抱き付いた。


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