【短】愛鍵。
「早とちりすぎんだよ、お前は」


そういってあたしのおでこをピンと指で叩く。
・・・でも、全然いたくないんだけどね。


『だって、あんな状況じゃあ・・・』


「ごめんな。不安になった?」


頭の上にまた手をおかれたのでまこちゃんの顔を見上げるとまこちゃんが優しく微笑んでいた。


『不安に、なった・・・よ』


ちょっとテレるけど今日のあたしには魔法のアイテムの合鍵があるから大丈夫。
とても素直に自分の気持ちを言えた気がした。


「可愛いこというなよ。・・・テレる」


まこちゃんの顔をチラリと見るとまこちゃんは赤くなった顔を隠すように口元を手で覆っていた。


・・でも、そんなまこちゃんも可愛いかも。

なんだ、お姉さんだったんだ。

・・・でも、・・・あれ?


『お姉さんと買い物とかしてたの?』


「えっ、あー、んー。ま、そんなとこ・・・」


・・まこちゃんの様子が少し変な気がするけど。
あたしはまこちゃんに向けてた視線を前方にずらしてまこちゃん家までの道を歩いた。


アパートのまこちゃん家の玄関の前に着くとあたしは手のひらの合鍵で鍵を開けた。


ガチャリ、という音がして玄関の鍵が開いてあたしをまこちゃんの部屋のにおいが包み込んだ。





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