【短】愛鍵。
『えへへ、久しぶり~』


「何ニヤけてんだ変態」


『ニヤけてないよ!変態じゃないし!!』


「いや、思いっきりニヤけてたから」


口に手を当てて肩を揺らして思いっきり声を出して笑うまこちゃんを久しぶりに見た。


「あ、そういえば俺引っ越す事になったから」


「だってアイツだってここの家の鍵持ってるんだろ?それはちょっと危険だろーが」


アイツって・・・ナツキ?


「それに、」


そう言ってあたしの後頭部に手を当てて自分の方に引き寄せたまこちゃん。

吸いつくようにまこちゃんの胸の中に抱きしめられてスピードが加速していくあたしの鼓動がまこちゃんの鼓動と重なる。


「それに、紗代にすぐに会いたくなったら会えるから・・・」


・・・え、それって?


『まこちゃん、あたしの家の近所とかに来るの?』


「まあな。歩いて5分」


『近!!』


「それでさ、コレ。引越し祝いのプレゼント」


・・・引越し祝いって。

しかも引っ越すのはあたしじゃなくてまこちゃんだし・・。


でもそう言って手渡されたものにあたしの鼓動がますます早くなった。


『これって・・・』


あたしの手のひらで光るそれは合鍵以上にあたしとまこちゃんの愛の証明をしてくれるモノ。





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