Kissシリーズ・「電車でのキス」
そう言って花束を彼に押し付けた。

「えっ、あっ」

彼はわたしの顔を見て、思い出したようだった。

「それじゃ! 卒業おめでとう!」

わたしは電車を降りようとして…。

「待って!」

再び腕を捕まれ…電車の中に引っ張られた。

プシュー… ガタンゴトンッ

…電車は動き出してしまった。

「あっ、ゴメン。でもこのままじゃ、イヤだったから」

ぎゅうっと腕を強く捕まれた。

「ゴメン…。ホントはいつも、オレの方から声かけなきゃって思ってたんだけど…。緊張してできなくて、でもキミの方から声かけてくれて、嬉しかった」

どくんっ…

心臓が高鳴った。
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