Kissシリーズ・「電車でのキス」
「こっち…向いて」

わたしは泣き出しそうなのを堪えて、振り返った。

彼もまた、泣きそうな顔をしていた。

そしてわたしは彼に抱きつき、キスをした。

彼はわたしをきつく抱き締めて、二人の距離はゼロになる。

「…ずっと、こうしたかったの」

「オレも…。ゴメン、待たせて」

しばらく抱き合った後、再び電車が止まる。

「あっ、オレここで降りるんだ」

「…隣町だったの」

結構近かった。

「うん。良かったら、これからオレん家に来ない?」

「えっ?」
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