蒼いキズ
布を取り付けるピンを一握りポケットに入れて、そのうちの一つか二つ口にくわえて、金ずちを右手で持って口にくわえていたピンを左手で取りながら、少しずつ布をつまみながらピンでとめて綺麗なドレープを出していく。


少しずつ止めていきながら、何も無い空間に波をおこしていく。


わずかなバランスの違いでぜんぜん違う波になってしまう。


全体的なバランスを考えながらやり直しを何回か繰り返しながら、自分のイメージに近付けていく。


そんなことを考えながら作っていく作業がコウタにとても楽しく、有意義な時間を過ごせた。


時業が全部終わった放課後なので生徒は帰宅し学校全体は静まり返っている。


残って課題をしている生徒だろうか、時々｢きゃきゃ｣とふざけあってる笑い声とはしゃいでいる声がコウタの耳に届いてくる。


服飾のデザイン学校だけあって、女生徒が多い。1/3ぐらいが男子生徒で、年齢層がばらついていて、最高で43歳で医者をやってた人が、ファッションに目覚め、この学校に来ているらしい。


この学校は、結構著名なデザイナーを排出していることで有名で全国から風変わりな人達が集まってくる。
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表紙・目次

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