蒼いキズ
このコンテストの魅力的なのは、審査員が、有名デザイナーばかりで、新人の登竜門と位置付けされており、有名デザイナーの目にとまったらスカウトされ、そこで就職できるので、倍率が高く、すごい人では、月100枚単位で送っている人がいる。


コウタは、先生から出しなさいと進められ、なんとなく出している。


「なんだ!コウタが出してるんだったら俺も出そ」

「別にまねしなくていいよ」

「真似とかじゃなくて、コウタががんばってるから俺も頑張らないと」
「だからそういうのが真似って言うじゃないの?」

「でも、大江の奴嬉しいだろうな」健一は話題を巧みに変えた。

「又すぐ話しを変える。お前すぐふりになると、話しを変えてごまかすから」

健一は苦笑いしながら2本目のタバコに火を点けた。ジッポのオイルの香りと葉が焦げた匂いがほのかに漂ってきた。又ジッポを点ける仕草も様になってることに、コウタは嫉妬に似た不快感をあらわにした。

「2年生で初めてじゃないの?」健一は大きくタバコをふかし煙りを一直線状に吐いた。

「そうだよな」

「月何枚書いてるんだろう?」

「授業終わったら、大江とこいこうぜ?」

「きっと今注目の的だよな」
< 9 / 11 >

この作品をシェア

pagetop