幾千の夜を越え
8th 封印
免疫力が戻りさえすれば
症状は消えていくはずだ。
栄養さえ付ける様に伝えれば…。
「また過ちを繰り返すのか?」
呆れた男の溜め息と共に聞こえた声に振り返る。
「右近の誤算は見過ったことだ。出ちまったんだよ犠牲者が…」
「でもそれは日和見感染が原因の死ではないはずだろ?」
「直接の死因が何か何て問題じゃないんだよ問題は拡大する被害の中で誰かが死んだってことだ!」
「どういう意味だ?」
現在の意識を捨てきれてない俺は日和見感染が根本的理由で直接の死因が違うのなら何の関係もないだろうと安易に考えていた。
「村人の不安と恐怖を煽るには、充分だったってことだよ」
『ここは見ての通りもう終わりに御座います…』
老婆の声が頭の中で響く。
医療知識のない村人は
疫病だと思い込んでいた。
いつ感染するか解らない不安に
死への恐怖が沸き上がってくる。
何の弊害もない構図だ。
その後は…
「子供が感染した母親の心境は…藁にもすがりたかったはずだろ。思考は氏神への懇願に辿り着く」
便乗した村人が社へ押し掛て来るのなんて目に見えている…。
懇願なんて生易しいものじゃなかったはずだ。
怒声に罵声…。
いつか聞いた喚き声が
頭の中を支配していく。
症状は消えていくはずだ。
栄養さえ付ける様に伝えれば…。
「また過ちを繰り返すのか?」
呆れた男の溜め息と共に聞こえた声に振り返る。
「右近の誤算は見過ったことだ。出ちまったんだよ犠牲者が…」
「でもそれは日和見感染が原因の死ではないはずだろ?」
「直接の死因が何か何て問題じゃないんだよ問題は拡大する被害の中で誰かが死んだってことだ!」
「どういう意味だ?」
現在の意識を捨てきれてない俺は日和見感染が根本的理由で直接の死因が違うのなら何の関係もないだろうと安易に考えていた。
「村人の不安と恐怖を煽るには、充分だったってことだよ」
『ここは見ての通りもう終わりに御座います…』
老婆の声が頭の中で響く。
医療知識のない村人は
疫病だと思い込んでいた。
いつ感染するか解らない不安に
死への恐怖が沸き上がってくる。
何の弊害もない構図だ。
その後は…
「子供が感染した母親の心境は…藁にもすがりたかったはずだろ。思考は氏神への懇願に辿り着く」
便乗した村人が社へ押し掛て来るのなんて目に見えている…。
懇願なんて生易しいものじゃなかったはずだ。
怒声に罵声…。
いつか聞いた喚き声が
頭の中を支配していく。