幾千の夜を越え
だから村は亡者の手によって…、滅び消えた。

なのに何故、
俺達は転生出来たんだ？

｢純血を捧げたんだろ！｣

そんなはずはない。

尊は山神に輿入れする為の祭壇にあげられたんだ。

山神の神殿が女神の神殿だった？

次代の俺達の転生と現代の俺達の役目は別物だから村は滅びたけど転生は出来たんだ。

｢もう一つ勘違いしてる様だから教えてやるがこの村は右近の手にかかって滅びたんだよ｣

右近が村を滅ぼしただと？

｢可笑しなこと言うなよ！｣

尊の守りたかった村なんだ右近が滅ぼすなんて有り得ない。

｢尊の力を得た右近は裂目を通り抜ける邪気に1人で応戦した｣

｢力を得たって？｣

俺の不信感の声を

｢左近の力が目覚めないんだ1人なのは仕方ない｣

別の答えで誤魔化し

｢何匹かが村まで逃げ切り村人を襲うこれも仕方ないことだろう｣

先を続ける。

｢村人は尊を裏切り者と罵り…、尊の嫁ぐ社に火を付けた｣

｢や…山神の神殿は右近しか知らないはずだろ！｣

奴の話を俺は塞き止める。

｢神殿は契りを結ぶ場所だ嫁いだ先の社とは別にあって当然だろ。無事契り終えた尊も社に移された後だったんだよ｣

契り終えた…。

尊は山神ってのに…。

< 130 / 158 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop