幾千の夜を越え
アプローチの仕方を変えたのか、一旦休憩するつもりなのか…。

「処女の血ってことだろ?」

「それを盃に注ぐってのは?」

軽く頷き先を促す。

「尊に傷付けて血を絞り出す?」

髪の先程も傷付けさせたくない、右近にそんなこと出来たのか?

「神殿を出る時に尊は怪我をしていたってことだな?」

クイズ解答者が出題者に答える時の気分にさせられ息を止める。

「尊は行きは歩いてたが帰りは、右近に抱き抱えられたんだ…」

それに「右近のせいだ」とも…。

「下半身を怪我していたってことなんだな?」

足ではなく下半身という言い方に含みを持たせているのか?

もう一度、尊の言葉を思い返す。

「慎右衛門のせいじゃ…」そうだ!あの時確かに尊は右近ではなく、慎右衛門と呼んでいた。

「…でも何で?」

疑惑が言葉になって口を吐くが、奴は気に止める様子もなく。

「慎輔が色んな女を抱くのは…、理由があると思うか?」

唐突に投げ掛けた。

「なっ何だよいきなり…。
関係無いだろ!」

とてつもなく恥ずかしいことを、責められた気がして突っ張ねる。

「封印されて居ても慎輔の前世は右近である限り劣化の時期に併せ転生することになってるなら…、右近は無意識に力を求める行動に出ても不思議はないからな」

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