幾千の夜を越え
俺は…
納得がいかなかった。

「聞いとるんか右近!」

あの感動の再会を果たして
思い出すだけで恥ずかしい告白の後といえば普通はなし崩しに…、燃える夜になるだろ!

「右近!」

「何だようっせぇな!」

隣の左山が俺の机を両手で叩く。

「せやから言うてるやろ!
あのけったいなにぃちゃんは何やちゅうねん!」

「知るか!」

左山のけったいなにぃちゃんとは恐らく…十中八九…奴のことだ。

今の俺は左山に構ってる余裕などなく面倒そうに一言で片付けた。

「いきなり俺ん家来くさってからに右近と左近のお役目御免や言いおって無闇に力を使うなやと?
何やねん!」

そんなこと俺に解るはずない。

それより俺のモヤモヤの原因は、あのまま熱帯夜に突入出来なかったのはあそこが神野家だったからそれは仕方ない。

下には茜もおじさんも居たんだ。

「お役目御免って何のこっちゃ!尊を守る必要ないちゅうんかい」

葵の初体験に相応しいとはとてもいえないからな。

それは仕方ない。

此処まではあれから何度自分に
言い聞かせただろうか。

納得がいかないのはその後だ。

「大体右近に力が戻らんさかい…力を貸せってなんじゃそりゃ」

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