幾千の夜を越え
「付き合ってるって言ったわよ」

しまった!
余計に野次馬を煽ってしまったことに気付くが。

「何やねん右近!
俺の何がアカンねや?」

一向に離す気配を見せない左山は

「何やようわからん…尊には何も感じひんかったのに尊見とると…何やこうモヤモヤしてくる」

片手で自分の胸を掴む。

言ってること矛盾してることにも気付いてないのだろう。

「モヤモヤってか…ムラムラ?」

ボソッと突っ込みを入れる。

「なっ
なんちゅうこと吐かすねん右近!俺は別に、肉体関係持ちたいとか言うてるんとちゃうんやただ…」

左山の妙に空けた間に、
野次馬から息を飲む音がする。

大体、肉体関係って…
何世代前の死語だ?

「ああもう!」

勘弁してくれ!

「ヤりたいならヤりたいって、
はっきり言え!」

左山がうだうだ言ってるから、
俺が葵をすんなりと行く方法も
ゆっくり考えらんねぇんだ。

「なっだっだから…俺は別に…傍に仕えられればえぇっちゅうか…手足でえぇちゅうだけや…」

しどろもどろの左山と俺を交互に

「何プレイかしら」
「御奉仕プレイ?」
「左山君ってツンデレ系?」

怪しい妄想が渦巻き始めた。

左山は左近に覚醒してるから…。

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