幾千の夜を越え
その途端、
急に左山が身近に感じる。

左近の始まりの石が
うっすら光って見えた。

「本当に見てるだけで良いんだな指食わえて見てるんだな!」

「きゃ〜」「放置プレイよ」

「俺は…右近は…どうなんや?」

何が放置プレイだ!っざけんな!

俺はな…
力なんて戻んなくても
右近が覚醒しなくても
そんなことは関係ねぇ!

俺は唯、
葵が欲しいだけだ!

誰に何を言われようとも
葵をもっと近くに感じたい
葵と一つになりたい…。

綺麗ごとなんか沢山だ!

俺は唯、葵と

「ヤりてぇに決まってんだろ!」

無理矢理左山の腕を引き剥がす。

「そんなことも言える覚悟がないなら最初から欲しがんじゃねぇ」

左山の気持ちが解らなくもない。

幾千年と気が遠くなる程長い間、俺達は唯、何も知らず利用されるままに尊を守り続けてきた。

穢れなき乙女であるままに…。

欲してはならない清らかな存在。

それが細胞の奥深くに
根付かされいる。

葵を欲しがる
俺の方が異端なのだろう。

それでも、
父神の…冥界の女神の…それより全知全能の神様の天罰を受けようともこの思いは変わらない。

葵さえ手に入れられるなら…。

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