幾千の夜を越え
持っていた雑誌を返す為に近付く葵の目が開いたままの頁で止まる。

「ぅわあ〜あの」

慌て引たくり後ろ手に隠す。

これは不味いよりによってなんてグロい頁なんだよ…。

いやいや、
こいつはアメリカ仕込みの無修正どの頁もマジでヤバいまだ中でも良い方だ。

頭の中はパニック寸前だ。

「あの…それ…」

もじもじと首元まで赤くした葵が俯いたままか細く呟く。

こんな時に可愛いなと顔が弛んでくるなら未だしもかなりヤバい…何故此処で反応してんだ俺の躰!

おずおず近付き
俺の前で立ち止まる。

「慎ちゃん…」

「ん?」

落ち着け俺!
葵との間に空気は出来ない。
流れで持ち込めねぇから期待するだけ無駄だぞ。

「そうゆう…こと…する?」

来た!
待てよ落ち着け…
これはどっちだ?

Aグラビア見てヌクか?
Bセックス経験あるか?

間違えんな…。

葵ならグラビア=セックスまでは飛躍して考えねぇだろ。

「時々……」

ゴクッと生息を飲み込む。

「たま〜に…」

葵の出方を待つ前に耐えきれず

「極稀…に…」

単語を並べていく。

「今…は?」

ニュアンスを変えたところで、
現行犯だ誤魔化しようがない。

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